そして妄想は続く

 ぐへへ。週1ペース的に垂れナガース。
 個人的には、ごはん食いシーンが出る作品がなんでも好きなんですけど、自分がするとなるとなかなかうまくいきませんね(´・ω・)
 その点、宮崎アニメとか最高d(打倒カリオストロのパスタぐるぐるシーンw
 んでは、以下この物語はフィクションで(ry 
 前の話はコチラでありまs。

2.
 村長宅を辞した後で、レイナルドは誰と待ち合わせるのか聞いていなかったことを思い出した。だが、ティルコネイルに宿はひとつしかない。それで、なんとかなるだろうと扉を開けた。事実、開けた途端になんとかなった。
「おはよーせんせっ、こっちこっち!」
 来客を告げるふんわりとした魔除けの鈴の音が鳴り終わる間もなく、陽気な声が響き渡る。
 目を向けると、よく日焼けした手がぶんぶんふるわれている。
「なんだ、魔音か」
 手の持ち主はといえば、十代過ぎといった風の少年だった。レイナルドは彼のことを知っていた。剣の振るい方の基礎を、昔教えたことがあったのだ。
「ちぇー。なんだとはひどいぜせんせっ」
「相変わらずでなによりだ」
 口をとがらせて抗議する魔音に、挨拶代わりに右手をいなすように掲げ、向かいの椅子を引いて腰を下ろした。
「ふむ。腹が減ったな。私もなにか食べさせてもらうとしよう。
 ノラ、ひとりぶん追加で頼む。それから、甘いものがあったらこちらの紳士に出してやってくれ。
 ──それで、話は聞いているのか、魔音?」
 運ばれてきた皿でニコニコ顔に戻った少年は、目をきらきらさせて早速蜂蜜菓子に囓りつき、ぶんぶんと首を縦に振る。無造作に結い上げた緑の髪が、そのつどゆらゆらと相づちを打つ。
「ふぃあーおっええんえおおおういあえ」咀嚼しながらだが、本人は返事をしたつもりらしい。
「まぁな」だがレイナルドには判るらしく、相づちを打つ。
「そええ、あいあえあいあの?」
 魔音の占めるテーブルには、椅子が他に一脚用意されているのだが、そのひとつは彼の佩剣が鎮座している。レイナルドはそれを指して、
「うん。探しているのは、そちらのお嬢さんによく似た品だ。美しさは比べるべくもないがね」
 人間に対するのと同じ口調で剣を指す。
「ふーん。。。」魔音はごくごくと牛乳を飲んで、菓子を胃に送り届けると、
「それにしても、話が来た日の晩にっていうのはすごいタイミングだねー」一瞬、苦いものでも口にしたように顔をしかめ、先を続けようとする。
 けれど、
「ちょっとまちなさいよ魔音、一番重要なポイントをスルーしてどうすんのよっ!」
 甲高い怒鳴り声が振ってきて、止められた。
「あたしの美しさには及ばないってことは当然として、その剣の話ってのも美味しそうーじゃん」
 剣の立てかけられていた椅子に人型の精霊が顕現した。怒鳴ったわりには上機嫌といった風だ。
「あたしと同じグラディウスってことなんでしょ?」
「そういうことだ」とレイナルド
「ただ、随分時が経っているから錆だらけということもおかしくない。剣として使い物にはならないかもしれないな」
「ふふん、人間と同列で見られちゃこまるなぁ」
 ちっちっちっと人差し指を振る彼女は、魔音と契約している武器精霊だ。
 きらきら光る姿は夜目に綺麗なんだけど、その大食いっぷりほど役に立たないんだよなぁ……というのは魔音の心の声だが、そんな契約主の思いなどは遙か彼方においてきぼりだ。
「別にあたしは、使えるかどうかは気にしないのさっ。味よ、味。よく使い込まれたグラディウスだったら一粒で二度美味しそうね。錆なんか浮いててもそれはそれでいいかも。ほら、わかりやすく言えばあんたたち人間だって青カビチーズとか食べるじゃん。それといっしょよ。うんうん。青サビグラとかあってもいいかもー」
 怒濤のように一気に喋った精霊は、魔音と同じ常緑樹を思わせる髪をふわふわと揺らせながら、自分の想像に垂れかけたよだれをじゅるりとすすりながら品なく手の甲でぬぐった。
 それでもひと通り納得したのか、うんうんと満足そうに微笑みを浮かべ、口を閉じた。二つ結びにした髪の房が、彼女に同意するように揺れる。
 依頼の品の味見をしかねない勢いに、魔音はやれやれといった風に視線を天井にさまよわせたが、レイナルドの手前、話をまぜかえすことはしなかった。
「じゃー、せんせが探してるその剣は、さいごはせんせが自分で確認するとして、出るお店については村長さんから聞いてるから、オレがサクっと案内するよ」
「よろしく頼む」
 レイナルドは、食後の茶と共に、なぜ魔音がフィアードに詳しいのか? という言葉を飲み込んで応じた。
「それなら、待ち合わせは夕刻、ここでってことでいいかな? 早めの夕食をここでとって、でかけよう」
「りょーかい」
 そして、そういうことになった。

( ・`ω・´)つ んでもってつづく(はず